新卒で4月入社した会社を5月に辞めた俺は6月からベンチャー企業で働く事になった。
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参考新卒で入った会社を1ヶ月で辞めた話
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しかし結果的に1ヶ月足らずで戦力外通告を受けてしまった。どうにも業務内容が性に合わず全くと言っていいほど業務に取り組む事が出来なかった為である。ちなみにこのベンチャー企業では定期的に10人ほどの大量採用がされている様で俺みたいな人が他にもいたらしい。これがソルジャー採用というやつかもしれない。
ただ俺の転職先は人によっては天国だった様に思う。100人弱の従業員をまとめる社長は表面上は新人にも人当たりがよく、先輩方も優しくて活気がある職場であった。稼げる人は月に100万近く稼げる環境で、適性がある人からすればパラダイスだったのかもしれない。
ただ、そんな環境でも人によっては地獄となる。
とにかく押しまくれ訪問販売
業務内容は単純で固定回線の訪問販売だった。月に15件の成約がノルマで以降は15,000円/件のインセンティブが入るという仕組みであり、多い人は月に40件以上も成約をしていた。1日100件近くのインターホンを押し1人成約できたらOKという感じであった。会社が用意した成約率の高い台本があるので誰でも台本通りに話していればその内契約が取れると皆んなが言っていた。
セールスお断りという張り紙が貼ってある家にもガンガン押していくスタイルである。先輩曰く「こういうの貼っている家は断るのが苦手だからむしろチャンス」との事。むしろ張り紙がある家へ率先としてインターホンを押しに行っていたから、セールスお断りのポップは貼ると逆効果になる様子。
まぁ何の資格もない人でも月収100万が狙える仕事だと道徳的にアウトっぽい事をしないと成り立たないだろう。
正社員になるには
ちなみに新人は全員業務委託契約から始まる。以下が主な内容
契約内容
- 月給 23万
- 完全週休二日(月火休み)
- 勤務時間 10時〜18時30(帰宅できるのは21時頃)
- 交通費実費
- 残業代なし
- 社会保険皆無
月に15件の成約を取ると正社員雇用となる。それを達成するまでは業務委託雇用であり、保険などは全て自分で払うという条件であった。今見ると明らかに不利な条件であるが、無知であった俺は特に疑問を持つことなく契約してしまっていた。これなら派遣社員の方がいいしその判断が出来なかった当時の俺をぶん殴ってやりたい。
ちなみに会社は業務委託雇用とは口に出さずに「研修社員」とか別の言い方をしていた気がする。
会社的には数字が出せる人間だけを雇い使えない人間はすぐに捨てたいだろうし、その契約に応じる人が悪いのかもしれない。ちなみに後述するがこの会社は使えない人間も効率良く金にしている。無論俺の実体験である。
台本は嘘つきの言葉
会社の用意した台本には電線工事の連絡を装って玄関先まで出すのが第一ステップ、光回線の地域担当と言い利用状況を聞き出すのが第二ステップ、最後に自社の商品を打ち明け契約を促すのがゴールとあった。記事にしていて思うがどうかしているがこの台本を暗記する事が最初の業務である。
その会社のトップセールス達はソフトバンクやKDDIを騙って話を進めると契約が取りやすいとか社内研修(無賃)で言っていたから、まぁそういう会社なのだろう。当人達は悪気はないようであくまで業務効率化の為に当然の様にやっている感じであった。
先輩方もこの台本を使用しており、この台本のおかげで効率良く営業が出来ると笑っていた。気の良い方達であったが当然の様に嘘をつくスタイルに違和感を感じるのであった。
唐突にくる嫌悪感
当たり前だが訪問するたびに警戒されるし嫌がられる、俺も嫌だし相手はもっと嫌だろう。でも会社の用意した台本は上手くできており、何となく聞かないといけないような気にさせる内容だからとりあえず話を聞いてくれる事は多かった。
最初の数日は業務を覚えるのに必死で気にしていなかったがある時こう思った。なぜこんなに人が嫌がる事をしているのだろう、こう思ってからはもう駄目になりピンポンを押せなくなってしまった。業者を語って家から出す事は出来るのだがその後が駄目であった。台本は暗記出来ているしロープレの時も問題ないと先輩方から言われているんだけど、嘘を吐きながら業務を進めていく実態に嫌気が差したんだと思う。
稼働時に持ち回りのエリアをウロウロ周り、首にかけた社員証を隠しながらひたすら時間を潰したのであった。帰りの反省会では架空のお客様をつくって感想を伝えた事もある。訪問販売を俺には出来ないという事が判明した。
戦力外通告をもらう
結論、俺はこの会社を1ヶ月持たずに追い出される事になった。というより別部署に配属される事になり別の会社に出向する事になった。ちなみに雇用契約的には業務委託であり、半年働いたら正社員雇用に切り替えると伝えられた。ちなみに出向先の会社は人材派遣会社である。出向先から依頼料を貰ってピンハネした額を俺に給与をして払う。つまり相場よりも安い賃金で働く派遣労働者の完成だ。
向こうの言い分としては外注先で営業力を磨いてから再挑戦とか言っていたけど物はいいようである。ちなみにその時の面談で
って聞かれたから
と返すと別に俺たちは感覚が麻痺しているわけではないって返されたんだけど、平常心で嘘を吐きまくってお金を稼いでいくというスタイルが俺には理解が出来ても納得は出来なかった。俺の感性だと何回やってもこの仕事は出来そうにない。
出来ない仕事は辞める
結果的に会社から(実質)切られる事になった訳だが、俺としてはこうなって良かったと思う。訪問販売なんて出来ないしやりたくない、人が嫌がる事を率先して行う事にどうにも抵抗感がある。会社側に何の利益も出さずに給料(日割り)を貰えただけ感謝するべきだろう、無能に出す金はない。1ヶ月足らずで俺を切る判断は正しいしこのまま続けていたら会社も俺も得をしなかった。
言っておくと真面目に取り組んだとは思う、休みの日にテンプレを覚えて新人の中でも早く独り立ちをする事が出来た。しかし適性がなかったのであろう、言い訳にしかならないがやりたく無い事は頑張っても出来ない。やりたくない事をやって乗り越える人もいる、しかし俺には出来ないしやろうとも思わない。
情けないが俺はやりたくない事から逃げるし楽な方へ進もうとしてしまう。でもそれでいいと思っている。