今回は道路を疾走する迷い犬を捕まえて飼い主から5,000円の金一封を頂いた話を記事にする。
俺が専門学校生時代の話であって何かの役に立つ記事ではないが、職場で話題に挙げたら何故か盛り上がったのでネタになると思いとりあえず記事にする事にした。完全ノンフィクションの話であり盛りは一切ない。
バイト終わりの出来事で合計で2時間近く掛かった話である。
目次
バイト終わり、目の前を通過するパピヨン
なんか小説の冒頭みたいな見出しタイトルになっているけど見出し通りの出来事が起きた。
バイトを終えた俺は適当に目の前の大通りを走る車を見ていたんだけど、突然一匹のパピヨンがリードも着けずに俺の前をいい勢いで横切った。片側一車線の道路で思いっきり逆走していた。犬は車両扱いではないから違反にならないと思うけど、もし車でやっていたら大惨事になっていたと思う。幸い周りに車は少なく、走っている車も逆走パピヨンに気付いてスピードを緩めたり止まってくれていたので惨事にはならなかった。
まぁいずれ轢かれると思って咄嗟にパピヨンを追って俺も道路に飛び出す事になった。ちなみに専門学校の同級生でアルバイト先の同僚も俺につられて飛び出してきた。
国道で小便を漏らすパピヨン
そうしてパピヨン捕獲隊二名が大通りの道路を犬を追って走る事になったんだけど、まぁパピヨンの速度が速かった、当時の俺が50メートル走で6.4秒だったんだけどそれでギリギリ追い越せた。俺が追い越して後ろの同級生とパピヨンを囲んで捕まえようという作戦であった。
するとパピヨンは停止したんだけど同時に失禁をしてしまった。知らない大きな生物に追われて囲まれたから怖かったんだろう。静止したパピヨンがいる道路は湿っていた。ちなみにこの時車は走っていて一時的な渋滞が出来上がっていた。その為道路から退かそうと思ったんだけどお漏らしパピヨンに触れるのに躊躇してしまい取り逃がし、隙を突いたパピヨンは脇道へ逸れて逃走してしまった。
まぁ大通りから逸れたから轢かれるリスクは激減したので事態は改善したといえる。ひくにひけなくなった俺達はパピヨンを追って脇道へ走っていった。
民家に逃げ込んだのでピンポン
めんどくさい事にパピヨンは民家の庭に逃げ込んでしまった。道路に飛び込むならともかく他人の敷地に飛び込む勇気は無かったので、ドアベルを押して家主を呼び出した。事情を説明すると家主も追い込みに手を貸してくれたのでパピヨンの包囲が始まった、といっても小柄な為すり抜けられて逃げられると困るので落ち着かせる為に少し放置する事になった。
同級生と家主に見張りを頼み、俺はアルバイト先に向かい段ボールを拝借して捕獲したパピヨンを収容する箱を用意した。戻ってみると家主と同級生が消えており、辺りを見渡すと別の民家に同級生が立っていた。俺が離れている間にパピヨンが逃走してしまったらしい。
パピヨンは再度立てこもっているらしく俺と同級生で囲んで捕獲する事になった。新しい立てこもり先の家主には同級生が事情を話して許可を取ってくれた様なので、安心して他人の家でパピヨン包囲作戦を実行した。
パピヨン捕獲
二人がかりでパピヨンを追い詰めようとしたんだけど、流石にスタミナ切れなのかパピヨンは全く抵抗せずに捕獲された。
先程のお漏らしを思い出しとりあえず同級生に抱っこしてもらい用意した段ボールにパピヨンを入れた。鳴きわめく事もなく大人しくしてくれたので助かった。触ったり撫でても抵抗が無かったので元々は他人懐っこい性格だったのかもしれない。
パピヨンを警察に引き渡す
パピヨンを捕獲したのはいいが持って帰るにもいかないので110番にかけて引き取ってもらう事にした。事故ですか事件ですかと聞かれたので、迷い犬は事件ですかね?と返すと事件寄りですねと返された気がする。結構ノリがいい担当者であった。
近くの警察官を寄越すと言われたので待つ事になったのだが、なんだかんだで30分ほど待つ事になり人間二人と箱に入った犬一匹で待ちぼうけをした覚えがある。やってきた警察が俺に書類を渡してきたんだけど遺失物取得届みたいなものだった気がする。犬はこういう状況だとモノ扱いになっている為取得物の欄に犬と記載した記憶がある。実は高校生の頃にも迷い犬をコンビニで捕獲して警察に届けた経験があったので、捕獲した犬を警察に引き渡す行為は割と得意であった。
本当だったらこのままパピヨンを警察に引き渡して終了だったんだけど、数時間前に犬がいなくなったという届出があったらしく、おそらくこのパピヨンが届出を出された犬ではないかと警察に言われた。既に警察が届出を出した飼い主に連絡をしていたらしく、もうすぐでこの場所に到着するとの事であった。そのため飼い主を待つ事になり、一般人二人と警官二人に箱に入った犬一匹で20分ほど待ちぼうけをする事になった。
待っている際に警察の人へ迷い犬って頻繁にあるのか聞いてみたのだが、半年に一回あるかないかと言われ結構珍しい事案だと言われた。
パピヨンの飼い主が現場へ
しばらくすると車に乗って老夫婦がやってきた。
箱に入ったパピヨンを見ると、嬉しそうな様子で「この子です!」と言いながらパピヨンを抱き上げていた。話を聞くと庭に放していたら姿を消していたらしく、警察に通報した後に自分らでも捜索をしていたみたいだ。自宅から俺がいた場所までは5キロほど離れており、警察から連絡があった時は驚いたと言っていた。確かに小型犬がそんな距離を一匹で移動するとはそうそう考えないだろう。
多分俺らが発見した時には疲れ切っており全開状態のパピヨンであったら捕獲は困難だった気がする。
爺さんの方はそうでもなかったんだけど、婆さんの方はギャンギャン泣きながら俺らにお礼を伝えてきて嬉しさよりも驚きが勝ったのを覚えている。車に轢かれていたらとか、帰ってこなかったらとか色々考えていたようで不安だったらしい。まぁ無事で良かった。
老夫婦に連絡先を伝えて解散となり警察とも別れた。別れ際に警官が笑顔でお礼を言ってくれたのが印象に残っている。
後日、謝礼金5,000円をゲット
それから1週間後に老夫婦からお礼の手紙と金一封が郵送されてきた。二つの封筒に5,000円ずつ入っており俺と同級生でいただいた。時給2,500円のアルバイトだと思えば割は良かった気がする。もう少し貰えたらなーとか思ったりもしたが貰えるだけヨシとする。
正直お礼の手紙だけで現金が頂けるとは思っていなかったので、当時学生だった俺達からしたら思わぬ臨時収入である。俺はお金が貰え、老夫婦は飼い犬が無事に戻ってきて、パピヨンは生還できた。
もし迷い犬を保護したら110番へ掛ければとりあえず解決すると思われる。少なくとも邪険には扱われないので警察へパスしよう。